顔を見て話すのは、そんなに好きじゃない。心が見透かされるような気がして。
でも、例外もあったりする。 
あの人と目を合わせて話すのは、優しい気持ちになれて、好きだ。





>>004 祁葉的非機械心







「まーまーキレイだろ。あじけねーけど許せ。」

「気にしませんよー物置とかじゃないですし、スペースありますしコンセントありますし」

「…そ。」


軽く部屋を見せてから、シャーナに鍵をわたし、また廊下にでて、色々とまわる。
会話は、なし。
たまにシャーナが祁葉に質問したりするくらいだ。


「あの、こんな無言だと気まずいのですがー」

「・・・・・」

「もうすこしはなしてくれませんかー」

「・・・・・」


無言。
用件以外話さないつもりらしい。



「祁葉さん。ちょっとこっち向いて下さい。」
なにか思う所があったのか、シャーナは、きつめにそういった。

「…なんだよ。」

しぶしぶシャーナの方をむく、祁葉。目は合わせない。

「ちゃんと目をみてはなしましょうよ。それになぜそう人を拒絶しているんです?」

「別にっ…拒絶なんて、してねぇ。」

少し核心をつかれて、祁葉はドキリとする。
怖かった。なにもかも見透かされた気がして。


「いいえ、してます。そして恐怖…怯えてる。そこまで怯えるほどの事ですか。人間と接するのは
まして私は機械ですよ。なにも怖くないでしょう。どうしてですか」

「…っ…!」


怖い。
どうして、と聞かれても。
思い出すのは、暗い場所。牢獄のような、ゲージ。実験室。何もかもが、
無彩色
黒

やめろ
やめてくれ
痛い。
これ以上は。

俺は

俺は―



「どう、なされました?」

シャーナの声で、祁葉は我に返った。

「なん、でも…ねぇっ…もう、俺は戻る!お前はこの地図見て適当に覚えろっ」


いったかと思うと、部屋の配置図を押しつけ、走り出す祁葉。
体が、震えていた。


「ちょっと…踏み込みすぎましたかね…そこら辺、難しいですね…人間の心、は。」


シャーナは、苦笑して、地図に目をやる。
そして、適当に歩き出した。






―過去は消えてなくならない。 過去からの恐怖を、どうやってぬぐい去ろうか。







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