いない人を求めるのは、私の悪いくせだ。





02.いない人





普段通りの生活は、さほど悪いものではない。

友人は親切で

両親は愛してくれる。

恋人も、一応いる。



すべて、なにも、悪いことはない。

けれどなにかが足りないのだ



欠落、している。



何が?と問われても答えられないけれど。




ーいつも求めるのは、その答えを教えてくれる人だ





「そんな人、そう簡単に現れると思ってんの?」

目の前に突然現れた男は、窓枠に手を組んでおいて、そういった。
ふわふわと飛んでいる男。
自称天使。



「思ってない。天使が目の前に現れる確率と同じくくらいだわ。出会える確率。」

「そーだね。でも今実際に天使が現れているということは探す答えも見つかるかもしれない」

目の前の天使は
ニヤリと笑って、私を見上げている。

かと、おもったら
身を乗り出し、家の中へすとんと着地。

立って、私より高くなった目線。

見下すように、見つめながら
天使はいった。


「君にたりないのは、『絶望』だよ。」


絶、望…?





「あらー?意味わかんない。って顔してるね?
まそーか。人間なんて偶像崇拝主義の自己中心的下等生物だしね?」

「・・・・・・」

その意見については、異論はなくて。
確かにそうだろうなぁとは、思うし。 でもなんで、絶望なのかはわからず。



「教えてあげるよ。君はさ、今まで…ものすごく感激するくらい幸せなこともなければ…
それほど不幸なこともなかっただろう?だからいまいち感情がかけてるんだよ。」

「感情…」

「そ。お望みならばすべて消してあげるよ。絶望を見せてあげる。
そしたら、希望もわかるはず。絶望と希望は同じところにあるからね。」



いまいち意味が、つかめない。

消す?何を?
希望を見いだせ?


そんなの、望まない。


望まない



何をしたいの


私に何をしてほしいの





「やだなぁ。君が探してるから、欠落したものを求めてるから、手を貸してあげるだけなのに」

「わからない、わ」

「わからない?何が?あははっ…明日になったら、君は探すものを見つけられるんじゃないかな。よかったね」

「あなた…性格悪いわよ。本当は、悪魔じゃない?」

「失礼だなー天使だよ?天使がすべてキレーな慈悲深い奴だと思わないでよね
だから、偶像崇拝主義だっていうんだよ。決めつけんなってぇの。ははっおっかしー人間って」

嘲笑うように、ずっと響く声は

私の脳裏を駆けめぐる


ぐるぐると

笑い声が支配する







いない人を求めるのは
ないものを求めるのは

私の悪い癖だ。






目を開けたなら、破壊で満たされた世界。













あとがき

天使の性格悪すぎだよ!とおもったり。
けれど人間の考える天使とかけ離れた天使もいるとおもいます。存在するならば

今まで不幸をあまり感じたことのない人というのは感情が欠落してるような気が私はするのです
深みがないというか。人の悲しみがわからない。些細なことがなぜうれしいのかわからない。みたいな
例外だってたくさんあると思いますが!

この方はどうなるのか。
続きの方は、かかないかもしれないです…

希望を見いだせるのか、否か。この世界はなんなのか。

とりあえずはご想像にお任せします


執筆 06/03/31  UP 06/04/01 雪姫