「ずっと一緒にいられますように」
そう短冊に願ったのは、ごく最近の事だと思っていたのに。
七夕の星に願いを
「え、どうして…!」
「ごめん」
「何で!私…そんなの…!」
本当に、どうしてなの
背を向ける少年に対し、少女は訴えるような目で見つめていた。
少年は、少女を見ることはなく、そのまま立ち去っていく。
少女はただ呆然と、少年を見ていた。
背を向ける姿は、まるで拒絶を意味しているようで
追いかけることは…出来なかった。
「キルス…」
少年の名はキルスと言うらしい。そして、この少女の名はレオナと言う。
二人は小さい頃から仲が良く、一緒に居ることが多かった。
秘密にしていることはない。
そう思っていた。
ある日まで。
「わかんないよ…突然そんなの言われたって…」
思えば、キルスには驚かされてばかりだ、とレオナは思う。
今もそうだが、昔だって、突然色々と告白されるから。
「だろうな…でも、事実なんだ。受け入れてくれるか?こんな血筋でも」
「もちろんだよ…キルスはキルスでしょ?大丈夫!」
あの時はそういった。
キルスはこの世界で忌み嫌われる魔物の血を受け継いでいた。
父親が、その魔物らしかった。
けれどキルスは父親のことを嫌ってはいなかった。
ただ、それを知れば周りの態度が変わることを知っていた。
分かり切っていた。この世界で魔物の名を出すこと自体、タブーとされていたから
けれど私には話してくれた。
怖かっただろうと思う。けれど意を決して。それがとても嬉しかった。
・・・それからだ
キルスが隠し事をするようになったのは。
夜どこかへいったり。私を避けたり。そう、色々。
何度問いつめても教えてはくれない。
なぜそんな事をするのか。
そしてついにこの日が来てしまった。
別れの時。
何度も何度もごめんと呟くキルス。
ただ「巻き込むわけには行かないんだ」とだけしか言わない。
ハンターが狙ってるらしいけど、そんなのどうだって良い。
たとえ殺されようと、傍に居られれば良かったのに。
それも駄目?邪魔?
私の為を思うのならばつれていってほしかった。
そんな事は言えるはずないけれど。
いつでも一緒だと、私は思っていたのに
いつでも一緒だと、私は…思いこんでいたのに…
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