こんなのって、あるかよ
たしかに俺の居た世界は、良いとは言えないけど
過去からの鎖5,天界
「天界って…そんな世界存在するんですか?」
「いや、現にここだって。」
そんな事、信じられないと言う様子の俺に対しガゼルはさらっと答える。
「じゃぁ人間を司っているのはここの人たちですか?」
あえて”神”とは言わない。なんだか…抵抗があった。
「いや、天界とは言っても、実際、人間を司ってはいない。」
「え?」 俺は意味が分からず聞き返した。
「人間の運命とか言うものは、始めから全部決まっているわけじゃない。
その時、その場所でどう行動するかによって決まるんだ。
だから、ここの人達は…正確には、君たちが”天使”だとかいう者かな?」
「じゃあ、死後の世界とかも無いんですか?」
少し気になっていたことを聞いてみる。
聞いたことがあるだけで信じてはなかったけれど…この際。
「死後…ね。それは天王か神官がみている。
もう一つ世界があってね、魔界と言うんだが…そこに罪人は送られる。」
まだすべての世界を、僕らは知っているわけじゃないだろうな。
もしかしたら、僕らの生き方も全部、操っている者達がいるかもしれない。
俺の疑問に答えた後、ガゼルは続けた。
「そうですか…」
・・・もしも、そのまだ知らない世界に。”神”という者があるのなら。
俺は、問いたい。
なぜこのような運命(さだめ)に生まれてしまったのだろうか。
目のこともそう、過去についても
そして、今ここにいることも…
考え込み黙っていると、遠くからの騒音。
ドン ドン
ドン!!
徐々に大きくなるその音に不安を覚えながら
俺はただ、「こっちへ!」というガゼルについて行くしかなかった。
また大きな事に、巻き込まれていく気がする。
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